フロリアーノ・テッラーノ監修四つの物語の四つの家族。日本映画祭「家族は大変!」では、家族を題材にした映画を四つご紹介します。
1953年の小津安二郎の傑作である『東京物語』は、戦後の日本の物語。東京に住む子どもたちを年老いた両親が訪ねます。滝田洋二郎の『おくりびと』は、2007年に始まる経済危機の時期の作品です。同じく、黒沢清の『トウキョウソナタ』(2008年)は、家族の大黒柱が突然仕事を失った結果 始まる物語です。最後を締めくくるのは、是枝裕和の2013年の映画『そして父になる』。多忙な日常における両親の姿に多くの厳しい問いを投げかけます。
四つの物語はどれもが、何らかの突発的な変化により、家庭のそれまでの日常生活が破綻した状況におけるストーリーです。嘘や、言葉にできない恨みつらみ、無理解、モヤモヤした気持ちなどの中に、我々は日本の伝統的家族の崩壊を見ることになります。ですが、東京という、孤独に動じぬ背景の中で新しい人生を受け入れることにより、デラックスな終焉とは程遠いながらも、かすかな希望をもって映画は終わるのです。
映画は以下の予定で、MABIC di Maranello前広場で屋外上映いたします。
- 9月7日(水曜日)21時
『東京物語』(小津安二郎、1953年)
- 9月14日(水曜日)21時
『おくりびと』(滝田洋二郎、2008年)
- 9月21日(水曜日)21時
『トウキョウソナタ』(黒沢清、2008年)
- 9月28日(水曜日)21時
『そして父になる』(是枝裕和、2013年)
さらに9月17日(土曜日)16時、MABICにてフロリアーノ・テッラーノによるカンファレンスが行われます。「君が代 - 伝統と変遷の日本を見る」の第5回目は、「渋い。日本映画の深遠なるシンプルさ、そのずば抜けたセンス」。初期の日本映画は日本の伝統文化にインスピレーションを受けており、歌舞伎や能舞台の作品から引用された物語が表されていました。このような初期作品が後に、日本映画において今も繰り返し使われるモチーフ(歴史的な物語、幽霊やお化けの話、家族の話など)となっていきます。
1950年代には日本映画という芸術が咲き誇り、西洋も日本の巨匠を知りそして賞賛するようになっていきます。他の言語の映画とは根本的に異なるスタイルで、しかし普遍的で理解しやすい。日本映画は人間性を余すところなく見せてくれるのです。
『君が代 ~ 日本の伝統と変化』のキュレーターFloriano Terrano(フロリアーノ ・テッラーノ) 東アジア諸国や特に日本についての文化や芸術また社会についてなど、幅広い分野で記事を書く。それらの記事はイタリアの新聞や雑誌また海外向けの月刊誌などに記載されている。様々な視点からみた東アジア諸国の文化や社会についての講演会をイタリア各地で行っている。日本人の芸術家の展覧会のキュレーターと主催者もしている。記事や活動等は彼のブログ www.higashishinbun.blogspot.com にてご覧いただけます。
※ インフォメーションと予約
Mabic, tel. 0536240028, e-mail: biblio.maranello@comune.maranello.mo.it
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