The mystery of masks
is still alive in nō and kyōgen
Since our childhood we are afraid of masks. We feel a strange concern when we see a face covered in the exaggerated and grotesque expression of the mask. We see our soul’s reflection in masks like in a mysterious mirror and we are afraid of it.
All the world’s cultures have their own traditional masks. From time immemorial human beings used the masks during religious ceremonies for sending away the evil spirits. Religious ceremonies are at the base of theatre and masks have also now their original feature of being a link between human and spirits’ world.
Japanese masks of nō (能楽) e kyōgen (狂言) theatres are true master-works of woodcarving, painting and intaglio. The Amleto and Donato Sartori Mask Museum in Abano Terme near Padua in Italy houses one of the most significant collections of Japanese masks in the world (www.sartorimaskmuseum.it).
Among these works there are two nōmen (能面) masks really notable for their beauty: hannya (般若, “Prajñā” or “wisdom”), representing a jealous female demon or serpent, and koomote (小面 “small, young face”), representing a young girl. Hannya dates back to mid-Edo period (18th century) and it is made of hinoki (檜 or 桧) wood, the Japanese cypress used by Japanese carvers by reason of its sacred nature, its softness, its time resistance and its scent. This mask keeps intact all its expressive strength and it still terrifies with its gaze which looks alive. We see a similar gaze, more serene but not less disquieting, in the apparently vacant expression of koomote, mask made of hinoki dating back to 20th century. Carving technique of koomote is a true treasure of creative ability: according to an ancient technique of intaglio if koomote mask is angled slightly upwards its expression becomes that of an aggressive woman, if koomote mask is angled slightly downwards, its look is that of a sad or dormant maiden. The mask carved by a true artist changes its expression depending on movements.
The Amleto and Donato Sartori Mask Museum is founded in 2004 for want of Paola Piizzi, Paolo Trombetta and Donato Sartori who is the heir to the long artistic tradition in making masks of Sartori family, well known in Italy and Europe. Sartori Museum is world-famous and its staff is in contact with the most significant acting companies and scholars of masks. The museum keeps up good relations with Japan: every year a delegation of museum attends some meetings in the Land of the Rising Sun about nō and kyōgen. Many Japanese visitors fond
of masks go round the Amleto and Donato Sartori Mask Museum in Abano Terme. Museum had friendly relationship with Kanze Hideo (観世 栄夫, 1927 - 2007), famous nō theatre actor who began playing when he was just three, descendant from the two actors and playwrights Kan'ami Kiyotsugu (観阿弥 清次, 1333 –1384) and Zeami Motokiyo (世阿弥 元清, c. 1363 – c. 1443), author of Fūshi kaden also known as Kadensho (風姿花伝 or 花伝書, “Flowering Spirit”), the most significant book about nō aesthetics. Museum staff cooperates also with Nomura Mansai (野村 萬斎), famous actor of kyōgen. Amleto and Donato Sartori Mask Museum is in Abano Terme, spa town which is twin of Japanese city Shibukawa (渋川市) in Gunma prefecture since 1993.
Floriano Terrano
アバノ テルメで開かれている日本のお面展示
会能と狂言の
中に今だ息づくお面の神秘
私達は幼い頃お面に対して恐怖心を持っていた。顔の後ろに隠された大げさでグロテスクな表情のお面を見た時、奇妙な不安を抱く。私達の精神と恐怖心がお面の中に反射され、いかにも謎の鏡のようだからだろうか。全ての国にお面の文化がある。昔は宗教的な式典では人々が仮面を使っていた。悪意のある精神を追い払う為である。年を重ねるごとに宗教行事で用いていた仮面を劇の中で使用するようになる。しかし、根本的な精神は受け継がれ劇の中でも今だに人々と神秘の世界が息づいている。
お面を使用した日本の伝統劇、能と狂言は日本の彫刻、絵画、彫り術の最高傑作である。アバノ テルメ(パドヴァ)にある仮面国際美術館Amleto e Donato Sartoriでは2007年11月30日まで日本でも最も重要なお面のコレクションを鑑賞することができる。展示会の名は RIMITE’ Rito Mito Teatro でSartoriがコレクションしている日本、中国、インドのより貴重なお面を展示している(www.sartorimaskmuseum.it)。展示されているお面の中でもより目をひく美しいお面が2つある:般若、女性の嫉妬深い執念、そして小面、若くて美しく上品な女性。この2つのお面は檜で作られている。日本の彫刻家は木材が柔らかく、強度があり持ちがよく、上品な香りのする檜を好んで使用し、また檜は聖なる木と信じられていた。般若は江戸時代の中期(18世紀)に作られた物である。般若は保存状態が良くて力強い表情と恐怖にも陥れる視線はいかにも生きているかの様である。同年代に作られた小面は般若よりは冷静な視線ではあるが何か落ち着きを失わせる様な感情を与え、表情はぼんやりと無表情であるかのように見える。小面に用いられている彫刻の技術は巧妙で目を見張るものがある。なぜならば、もし小面を少し上向きにしてみると攻撃的な女性の表情に変化し、もし少しだけ下向きにしてみるとお面の顔は悲しくもしくは眠っているかの様に変化する、これらの技術を昔の時代に完成させた彫刻家に感謝したい。巧みな技術を持った彫刻家が作ったお面は芸人が動くたびに様々な表情を見せるが、そうでない彫刻家が作ったお面は表情が変わる事がないのである。
仮面国際美術館Amleto e Donato Sartoriは Donato Sartori、Paola Piizzi, Paolo Trombettaによって2004年にオープンし、Donato Sartoriは仮面の彫刻家であり、父であるAmletoと共にイタリアそしてヨーロッパを代表する彫刻一家である。この美術館は世界中の重要な国際劇団体や仮面職人達との関係があり、世界中で知られている。日本の美術館とも関係が強く、毎年数人の美術館関係者が日本で開かれる大会に参加しており、最近では9月に東京で狂言をテーマに開かれた。仮面に興味のある多くの日本人訪問者が毎年アバノ テルメの仮面国際美術館を訪れる。なかでも観世 栄夫(世阿弥 元清1363-1443の子孫)とは強い友人関係を持っており、彼は偉大な能役者で3歳の時から能を始め2007年6月8日に他界している。そしてこの美術館は狂言師の野村萬斎とも協力し合っている。
仮面国際美術館Amleto e Donato Sartoriのあるアバノ テルメはイタリアにある有数な温泉街で1993年に日本の伊香保(群馬県)と姉妹都市を結んでいる。毎年3月の終わりには、アバノ テルメで彼岸祭りが開催されイタリアで行われる日本の行事の中でも、もっとも重要なものである。
お面を使用した日本の伝統劇、能と狂言は日本の彫刻、絵画、彫り術の最高傑作である。アバノ テルメ(パドヴァ)にある仮面国際美術館Amleto e Donato Sartoriでは2007年11月30日まで日本でも最も重要なお面のコレクションを鑑賞することができる。展示会の名は RIMITE’ Rito Mito Teatro でSartoriがコレクションしている日本、中国、インドのより貴重なお面を展示している(www.sartorimaskmuseum.it)。展示されているお面の中でもより目をひく美しいお面が2つある:般若、女性の嫉妬深い執念、そして小面、若くて美しく上品な女性。この2つのお面は檜で作られている。日本の彫刻家は木材が柔らかく、強度があり持ちがよく、上品な香りのする檜を好んで使用し、また檜は聖なる木と信じられていた。般若は江戸時代の中期(18世紀)に作られた物である。般若は保存状態が良くて力強い表情と恐怖にも陥れる視線はいかにも生きているかの様である。同年代に作られた小面は般若よりは冷静な視線ではあるが何か落ち着きを失わせる様な感情を与え、表情はぼんやりと無表情であるかのように見える。小面に用いられている彫刻の技術は巧妙で目を見張るものがある。なぜならば、もし小面を少し上向きにしてみると攻撃的な女性の表情に変化し、もし少しだけ下向きにしてみるとお面の顔は悲しくもしくは眠っているかの様に変化する、これらの技術を昔の時代に完成させた彫刻家に感謝したい。巧みな技術を持った彫刻家が作ったお面は芸人が動くたびに様々な表情を見せるが、そうでない彫刻家が作ったお面は表情が変わる事がないのである。
仮面国際美術館Amleto e Donato Sartoriは Donato Sartori、Paola Piizzi, Paolo Trombettaによって2004年にオープンし、Donato Sartoriは仮面の彫刻家であり、父であるAmletoと共にイタリアそしてヨーロッパを代表する彫刻一家である。この美術館は世界中の重要な国際劇団体や仮面職人達との関係があり、世界中で知られている。日本の美術館とも関係が強く、毎年数人の美術館関係者が日本で開かれる大会に参加しており、最近では9月に東京で狂言をテーマに開かれた。仮面に興味のある多くの日本人訪問者が毎年アバノ テルメの仮面国際美術館を訪れる。なかでも観世 栄夫(世阿弥 元清1363-1443の子孫)とは強い友人関係を持っており、彼は偉大な能役者で3歳の時から能を始め2007年6月8日に他界している。そしてこの美術館は狂言師の野村萬斎とも協力し合っている。
仮面国際美術館Amleto e Donato Sartoriのあるアバノ テルメはイタリアにある有数な温泉街で1993年に日本の伊香保(群馬県)と姉妹都市を結んでいる。毎年3月の終わりには、アバノ テルメで彼岸祭りが開催されイタリアで行われる日本の行事の中でも、もっとも重要なものである。
(Images courtesy of Sartori Mask Museum
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